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CATEGORY:SLAM DUNK(藤井さん中心)
2007年07月07日 (Sat)
流藤
夢を追いかける少年、しばしの別れ。
ちょっとだけ夢に嫉妬する藤井ちゃん。
流川には是非にとも海の向こうで成功して欲しいです。
夢を追いかける少年、しばしの別れ。
ちょっとだけ夢に嫉妬する藤井ちゃん。
流川には是非にとも海の向こうで成功して欲しいです。
熱い抱擁を交わらせるわけでもなく、暖かい言葉をかけ合うでもなく、
ただ冷たい夜の風が二人の間に流れていた。
男は出てく人、女は待つ人。
たかが、一ヶ月、されど、一ヶ月。
高校生の一ヶ月を、成人の一ヶ月と同じ秤に乗せてはいけない。
そこに恋愛が絡んでくると、特に―――
「長い、ね」
「おう」
冬の夜はしんとして、耳を澄ませば、ぱりぱりという音が聞こえてきそうだ。
短い言葉にも空気は反応して、そこだけを白く染める。
「浮気、すんじゃねーぞ」
男は女から目をそらして言った。
その視線の先には、きっと目指すもの。
「…うわき、すんじゃ、ねーぞ」
女は男をじっと見つめて言った。
視線の先は、誰にも渡したくない大切なもの。
ずっと傍に置いておきたいもの。ずっと添い遂げたいもの。
でも、女はほんとは知っている。
男が、もうとっくに自分に浮気していること。
だって、彼の本命は視線の先。
「アメリカ、ってどっちだ?」
「え?!…えーと、こっちが北で、東だから…あっち、かな?」
彼が本命を心で抱きしめる、その隙間に自分がいる。
両腕できつく抱きしめる抱擁じゃなくても、
腕1本、指1本。
自分に受け渡してくれるのなら。
「そか、じゃー。おれはあっちにいるから。何かあったら言えよ」
本気なのか冗談なのか、いつもの顔色で彼は言い、本命をしっかりと指差す。
浮気相手の愛人なら愛人らしく、少し悪戯に振舞ってやろうと思い
女は返事の代わりに、男の横顔に少しのキスをした。
熱い抱擁はそこにはなく、暖かい言葉も無く、
冷たく小さい唇だけが、震えた二人を繋ぐのだった。
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